猫が気管支系の病気になると、ステロイド剤が処方されます。ステロイドは、腎臓の上部から出る副腎皮質ホルモンを人工的に作ったもので、成分はもともと体が持っている物です。「副腎皮質ホルモン」=ステロイドと考えます。
ステロイドは効き目は強力な分、大量に飲んだり長期的に飲み続けると副作用が現れます。薬と言うのは、その効果にも個体差があれば副作用にも個体差はつきものです。
そこで今回は、猫が喘息になった時のステロイド治療の副作用について詳しく解説いたします。
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猫の喘息の治療薬、ステロイドを知ろう!
猫の喘息治療には、ステロイドが使用されます。ステロイドには、副作用がつきものと言う認識が強くありますが、そもそもどうして副作用が出てしまうのでしょうか。ステロイドは、自分が出す「副腎皮質ホルモン」を人工的に作ったものなので、もともとは持っているものと変わりません。
持っている物なら一番安全なのでは?と思いますね。副腎皮質ホルモンは、体内の水分調製や炎症を抑えることが得意なホルモンです。そのために体から分泌されるのですが、強い炎症が起こった時はそれだけでは足りずにステロイドを投薬します。
副作用が出やすいのは、大量に投与した場合、2か月以上にわたって投与した場合、少量を1年以上投与し続けた場合です。すると、体は自分がホルモンを出さなくてもいいのでは?と勘違いして、副腎皮質ホルモンを生産しなくなってしまうのです。
生産を止めてしまうと、副腎は小さく委縮してしまい機能性は激減してしまいます。ステロイドに求める大きな効果は「炎症を抑える」「免疫力制御」などですが、体内から分泌される副腎皮質ホルモンには、もっとたくさんの仕事があり、生産されなくなるとそちらも不足してしまうのです。
その不足が症状に表れ始めることをステロイドの副作用と言います。副腎皮質ホルモンは一度生産されなくなると、復活するまでは時間がかかります。それでもステロイドには副作用を超える効果があるため、治療に使われるのです。
副作用は「ステロイド」が体に何か悪い症状を与えるのではありません。ステロイドによって、体がホルモンの生産を止めてしまうために起こる作用なのです。
わざわざ人工的にステロイドを作って体に入れるほどの効力のある「副腎皮質ホルモン」を分泌、生産するわけですから、生き物は副腎が機能しなくなると生きていけません。とても大切な臓器なのです。
ステロイドにはどんな副作用があるの?
- 被毛が縮れて細くなる、抜ける
- 吐き気、嘔吐
- 皮膚が委縮する
- 皮膚に色素沈着する
- 毛細血管が拡張し、皮膚にあざができやすくなる
- 皮膚が炎症を起こしやすくなる
- 感染症を起こしやすい
- 水分調製が上手く行かず、喉が渇く(多飲多尿)
- むくみや高血圧が起こる
- ミネラルが吸収しにくくなる
- 腸粘膜の水分吸収が調整できず、下痢を起こす
- 胃の保護力が低下し、自己消化して胃潰瘍を起こす
これらは一般的な副作用ですが、症状の強弱はかなり個体差があるのもです。また、ステロイドによる副作用は人間より猫の方が出にくいと言われていますが、誤った治療法や投薬で死亡してしまうこともあるので軽視はできません。
ステロイドは、終了の仕方がとても大切です。炎症が無くなったからと言って、治療を止めてしまうと、副腎が委縮しているので、副腎皮質ホルモンが分泌されません。
そのため、徐々に副腎を回復させながら治療する「治療計画」が必要なのです。治療が長期に渡る場合は、医師から説明がありますが副作用を理解しつつも、耐えられるかどうかの判断もしていかなくてはなりません。
またステロイドは、治療の始めにより効果が高いことがわかっているため、特に重症の場合などは最初に大量に投与する「パルス療法」が用いられることが多いです。
最初に大量に体に入ると言う事は、当然副腎が早く働かなくなると言う事なので、副作用は起きやすくなります。効果を大きくすると、副作用も起きやすいと言うことになります。
猫の喘息の治療で使われるステロイドの種類とは?
- 飲み薬 ( )内は商品名
- プレドニゾロン(プレドニン、プレドニゾロン)
- メチルプレドニゾロン(プレドニゾロン)
- デキサメタゾン(デカドロン)
- ベタメタゾン(リンデロン)
- 注射
- トリアムシノロンアセトンド(ケナコルト-A)
- ブチル酢酸プレドニゾロン(コーデルコートンTBA)
- 酢酸メチルプレドニゾロン(デポ.メドロール)
- 酢酸ハロプレドン(ハロアート、ハロアートS)
- 吸引
- ベクロメタゾン(アルデシン、タウナス、ベコタイト、リノコート)
- ブデソニド(ベデゾン)
- フルニソリド(シナクリン点鼻)
- フルチカゾン(フルタイド)
症状が重い場合は注射で取り入れますが、入院や通院がストレスで症状が良くならないことが考えられます。その場合、落ち着いたら飲み薬と吸引に切り替え、自宅での治療になります。
「副作用」に後悔しない治療にするために出来ることとは?
ステロイドに副作用がある事はたくさんの人が知っていますが、どんな副作用が起きるかと言う事までは良く知らない人が多いのが実情です。
ステロイドは大変効果が大きいので、皮膚の炎症、内部の炎症、腫瘍、がんなど幅広い治療で使われます。炎症は治まり、腫瘍は小さくなるなどの効果はありますが、副作用に襲われ反対に体力や免疫力をすっかり失うこともあります。
また、免疫力を制御してしまうため、他の病気にもかかりやすくなってしまい、新たな苦しみを生み出してしまうことも少なくありません。難しい病気になればなるほどステロイドを使うためハイリスクとなります。
猫の治療でステロイドを処方されて飲ませていると、治療目的の症状は回復してきたのにグッタリして具合が悪そうになることがあります。
そんな時は、ステロイドを処方された病院へ症状を報告し、その後の治療法を考えます。間違っても、「これは副作用だ!かわいそうだから飲ませるのは止めよう」と勝手に判断してはいけません。ステロイドは急に止める事も猫の体には負担なのです。
飼い主の心情まで考えてくれる先生であれば、予想できる範囲の副作用の症状をきちんと最初から話してくれるかもしれませんが、なかなか獣医全員がそうだとは言えません。
そのため、「不安に思うことは聞く」、「途中で診察に疑問が湧いたら確認する」、「医者に任せきりにしない」、「一緒に治療に向き合う」と言った姿勢が大切になります。
薬剤を使って治療することは専門の獣医にしかわかりませんが、目の前で苦しんでいる猫のことは飼い主が誰よりも知っているのです。両方の知識を足して始めて、前向きな治療となります。
グッタリとした猫を前にして、初めて「これが副作用か」と思い知る飼い主も多いですが、治療を始める前に知っているのといないのでは、ショックに大きく違いがあります。
知っていたからと言って辛い気持ちになるのは免れられませんが、知らずに副作用が起きると、「何てことしたんだ!」と医師に怒りを覚えるし、「何てことしてしまったんだ!」と自分を責めてしまいます。
これだけ多くの病気が猫を襲いますが、この世に万能薬はありません。悪いところだけをキレイに治してくれる薬はないのです。長期に渡る治療や重篤な病状の治療になるほど、一番良い方法を手探りで探していく事になります。
飼い主は「副作用」の意味を理性を持って理解し、飼い猫の病気と向き合う強さをもたなくてはなりません。また、愛する猫のことを考えたうえで、副作用に耐えられないので中止したいと判断する強さも必要です。
まとめ
ステロイドは、その効果の大きいことからさまざまな病気で使われます。しかし、その副作用は小さいものではなく、時には基礎疾患の症状より辛くなってしまうこともあります。
ステロイドの副作用は、副腎の機能が低下してしまうために起こる症状です。もともと持っている必要なホルモンを人工的に作って投与しますが、そのためにもともとのホルモンが分泌されなくなってしまうのです。
副作用の病状の強弱は個体差のあるものなので、その子を一番良くわかっている飼い主の判断が1番です。
この治療法はこの子に合っていない!と飼い主が感じたら医師に相談してみましょう。猫は一度体力を落としてしまうと、回復するのにその何倍も体力を必要とします。
どんな副作用があるのか、またどこまでの副作用になら自分の飼い猫が耐えられるかを冷静に判断して、医師と相談の元に治療方針を決めて行きましょう。
また、アナタの愛猫が大きな怪我や病気をした場合の時の準備はできているでしょうか?どんなに健康な愛猫も、歳をとり病気や怪我をしてしまう事は覚悟しないといけません。
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