横隔膜ヘルニアの手術はまず、「手術ができる状態か」と言う問題が起こります。横隔膜ヘルニアの手術の多くは、体に大きくメスを入れ、肋骨を外して内臓を移動させると言う、大変な手術です。
執刀医の経験や技術が大きく関わるのはもちろんですが、猫の体力や生命力が一番問題です。成功率6割と言われる、猫の横隔膜ヘルニアの手術は「発覚」→「手術」→「回復」と単純に考えられる病気ではありません。
飼い主が1番考えるべきことは、目の前にいるこの猫が手術に耐えられるか、そして生きる力を感じるかと言う事です。そこで今回は、猫の横隔膜ヘルニアの手術について、成功率や寿命を含めて詳しく解説いたします。
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猫の横隔膜ヘルニアの手術とは?
猫の横隔膜ヘルニアの手術自体大変難しいもので、全身に麻酔をかけてから開いたお腹を閉じて麻酔が覚めるまでの成功率は6割と言われています。
半分近い猫は手術によって死んでしまうと考えるか、半数以上の猫が成功して回復できる!と可能性を感じるかは、飼い主や担当の医師によります。
ただし、これは横隔膜ヘルニアが発覚した時の猫の状態が大きく関係してきます。いくら飼い主が「手術」を望んでも、それが猫にとって良くない場合もあるのです。
猫の横隔膜ヘルニアの手術は絶対に必要?
横隔膜ヘルニアは胸部と腹部を隔てる横隔膜がその役割を果たせなくなり、腹部の臓器が胸部は移動してしまう事です。
そして、移動した臓器が肺や心臓を圧迫して呼吸困難を起こしていきます。また、腸が移動したさいに排便困難が起こる場合もあります。
発覚した時点で、両方の肺がほとんどつぶれてしまっていたり、心臓の機能が悪くなっている場合は手術は行われることはありません。手術をしてもその後の生活が自力で行えないと考えられる場合は無意味な苦痛を与えるだけになってしまうためです。
横隔膜ヘルニアは、外傷性以外では突然どっさりと内臓が移動してしまう事はなく、徐々に移動して圧迫していくため呼吸も徐々にしにくくなってきます。
先天性の場合は、生まれた時から横隔膜が無く腹部の内臓が胸部に入り込んでいるため、腹部の臓器が「そこにあるもの」として存在してしまいます。そのため、本来はあるべきものではない隣の臓器と密着して、そのままその場にくっついてしまいます。
これは横隔膜ヘルニアの手術を困難にする理由の一つで、「臓器の癒着」と言われるものです。癒着は時間が経つほど「ピッタリ」とくっついてしまうので、剥がすことが困難になるのです。
横隔膜ヘルニアの臓器の癒着は1年未満であれば剥がすことが有効とされていますが、これにも個体差があるため絶対ではありません。
1年未満でも壁の薄い肝臓が癒着している場合などは、剥がすことが困難を極める場合もあり、開腹してもそのまま閉じる結果となることは数多くあります。
横隔膜ヘルニアの手術が成功すると言う事は、手術をしたあと自力で呼吸ができて食事や排せつがこなせる生活が出来るようになることが目的です。
手術でいくら臓器を腹部に戻しても、その後立ち上がることも出来ずにチューブや機材につながれたままの生涯となっては成功とは言えません。
そのため、無理に手術をするばかりが手段ではなく、飼い主が呼吸を助けながら寿命をまっとうすることも幸せな生涯と考えることが出来ます。
横隔膜の穿孔が小さい場合や、高齢の猫の場合などは手術をしないことも多くあります。手術による強烈なストレスと恐怖によって寿命を縮めてしまう確率より、穏やかな生活を少しでも長く出来るようにしてあげると言う事です。
片方の肺だけが機能している場合には激しい運動をさせないようにするため完全室内飼いとし、さらに腸に癒着がある時は消化のしやすいエサにするなど、飼い主の愛情に包まれて15年以上も穏やかに暮らした猫もいるのです。
どの臓器がどの部分へどれくらいの時間移動していたのか、この状態によって手術をするべきか、手術が成功するかの大きな分かれ目となります。
猫の横隔膜ヘルニアの手術!全身麻酔の危険性!
猫の手術は横隔膜ヘルニアだけでなく、ほとんどが全身麻酔で行われます。猫が手術を受ける時は、注射で一定量の麻酔をかけて持続可能な時間内で手術を終了させる方法が主流でしたが、これは大変大きなリスクが伴います。
まず、猫のような小さい生き物は個体差が大きいため、規定の麻酔の量ではその効き目に違いが出てしまうと言う事です。量が足りなければ手術の途中で醒めてしまい、多ければそのまま目覚めないこともあるのです。
この微量な調整は医師の経験や知識、技量に頼る他はなく、残念ながら猫の手術はこの全身麻酔によって命が失われる危険性も十分に考えなければならないのです。
そのため、今はより安全な吸入式の麻酔が使われています。猫は病院にいると言うだけで、ストレスや恐怖から過剰な反応が起こる可能性があります。まずは、落ち着かせてから注射で少量の麻酔をし、その後吸入式の麻酔ガスを入れていきます。
この吸入式の麻酔設備は、手術中の猫の状態によって麻酔の量をコントロールできるため、中途覚醒などと言う考えたくない危険性を回避することができます。
ただし、この吸入式の麻酔だけで100%の猫に対応できるわけではありません。猫は、肺の呼吸が苦しくなると自分で腹式呼吸を学びます。呼吸が苦しそうな猫は、お腹が膨らんだり萎んたりしていますね。
長期にわたって腹式呼吸している猫の場合、吸入器からの麻酔ガスは肺に必要量が入らず循環しません。その場合は、注射や点滴にするしかなく、負うリスクは高くなってしまいます。
そのリスクが高い手術が、肺や心臓を腹部の臓器の圧迫によって呼吸障害が起こる「横隔膜ヘルニア」の手術に起こりやすいのです。
横隔膜ヘルニアの手術!麻酔設備の充実さと費用!
横隔膜ヘルニアで手術が必要な場合は、設備の充実した病院を紹介されることがあります。小さな病院では対処しきれないため、麻酔管理の徹底や熟練の医師、豊富な成功例を保持する病院が安全だと言うことになります。
横隔膜ヘルニアは小さな穿孔から、横隔膜がほとんどないような状態まで、個体によって千差万別です。検査や手術費、入院費などかかる費用も大変大きく、飼い主は「命」と「生活」を天秤にかけなくてはならず、苦しい選択を迫られることになります。
設備の整った病院ほど安全性や確実性は高くなりますが、それに伴って費用も高くなります。ですが、大きな手術を手掛ける病院はカードで分割の支払いができるようになるなど、飼い主の負担を軽減させられる措置もとられています。
病院でのカード支払いは急速に増加していますが、そのすべての病院で分割払いができるわけではありません。いろいろな角度から確認して、手術を終えて無事に帰ってきた猫を万全な体勢で迎え入れられるようにしなくてはなりません。
また、人間と同じように、猫が病気にかかった時はセカンドオピニオンが大きな存在となります。大きな決断を迫られる事態なほど違う病院で診てもらう事は大切です。今目の前にいる猫にとって最良の方法を考えていかなくてはなりません。
最初に診察してもらった病院での検査や費用、セカンドオピニオン、手術+入院、退院後の生活環境を整えるための準備や抜糸などの通院を考えると、20~30万ほどかかるのが一般的です。
手術+入院だけでも20万以上と高額治療になることは間違いありません。今はペット保険が充実しているので、入っているといざという時に安心です。
猫、飼い主、医師の三位一体で寿命をより長く!
無事に手術を終えた猫は、内容によりますが3~7日ほどで退院してきます。内臓は腹部に戻され、横隔膜は穿孔部分が縫合されたり、欠損が激しい場合は横隔膜になり代わる専用の素材で新たに作られます。
小さな体を大きく切開することは、猫にとってとてもダメージが大きいものです。その後の体調の変化には十分な注意が必要です。術後の猫は肺気腫や貧血を起こしやすいので、処方された薬は必ず飲み切るようにしましょう。
手術が成功したことが回復ではありません。衛生面や食事の管理などで、弱った体は再び病魔に襲われてしまいます。猫が持つ「生きる力」と飼い主の「愛情」、医師の「治療」がひとつになり、ゆっくりと回復に向かいます。
肺への影響が大きく、多少の呼吸器系のトラブルが残ってしまった猫でも、手術が成功していると、定期的な健診と飼い主の愛情に包まれて元気に暮らし、長い寿命をまっとう出来ます。
残念ながら、その後感染症やFIPで亡くなる猫もいますが、これはどの猫でも確率は一緒です。より確実に危険から遠ざけるためにも、完全室内飼いにしましょう。
まとめ
猫の横隔膜ヘルニアの手術は、まず手術ができる状態か、また手術するべきか、など飼い主は大きな選択を迫られます。重大な決断ほどセカンドオピニオンを持ち、より良い可能性を探しましょう。
猫の手術は麻酔の事故が大変多いのが実状です。設備が整い、横隔膜ヘルニアの手術を多く手掛けている病院で手術を受けることが安心です。
また、横隔膜ヘルニアの小さな子猫を保護した場合は引き受けてくれる病院がとても少ない事実があります。残念ながら手術が成功する可能性が低いため断られてしまいます。
各地域の動物愛護センターなどに問い合わせて一緒に探してもらうのもひとつの手段です。今はSNSを使い、呼びかけて病院情報を得ることも出来ます。
横隔膜ヘルニアは、「手術に耐えられるか」「手術を引き受けてくれる病院があるか」「麻酔の危険性」「手術の難易度の高さ」「高額な手術費用」「術後の受け入れ状態」と、さまざまな困難が待ち受けているため飼い主は覚悟と冷静さが必要です。より安全に手術を受け元気に暮らせて、より多くの猫に天寿をまっとうさせてあげたいですね。
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