横隔膜ヘルニアとは、肺や心臓のある胸部と胃や腸のある腹部を隔てる横隔膜に穿孔または欠損が起こり、腹部の臓器が胸部に侵入してしまった状態のことです。
「先天性」「外傷性」「食道裂孔」の3つの原因別に分けて考えることができ、その症状は空いた穴の大きさで大きく違いがあります。
そこで今回は、猫の横隔膜ヘルニアについて、原因や症状、治療法までを詳しく解説いたします。
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猫が横隔膜ヘルニアになる原因と症状とは?
猫が横隔膜ヘルニアになるには、
- 先天性
- 外傷性
- 食道裂孔
の3つの原因があります。
先天性横隔膜ヘルニア(心膜腹膜横隔膜ヘルニア)
これは、母猫の体内で形成されるはずの横隔膜が十分に発達する前に生まれてしまい、一部欠損、またはほとんど無い状態で生まれてくる猫もいます。
腹部にある臓器は、ひとつづつに重みがあり、しっかりとした膜や筋肉も付いているものばかりです。それが横隔膜の無い部分から胸部に侵入すると、薄い筋膜で覆われ、伸縮を繰り返す肺や心臓はどんどん思い臓器に押しつぶされてしまうのです。
横隔膜ヘルニアが起きている状態と手術後の状態
これは、横隔膜が欠損し胸部に臓器が入り込んでしまい、本来黒く見えるはずの胸部に白く内臓が映っています。
出典:http://homepage3.nifty.com/elfaro/diary.html
手術をして横隔膜をふさぎ、臓器を定位置に戻したところです。胸部は肺と心臓があるだけで黒くなっています。
先天性の横隔膜ヘルニアの場合、生まれた時から心臓を覆う心膜と腹部の臓器を覆う腹膜がくっ付いていることがあり、すでに肺や心臓を圧迫している可能性があります。
このような状態は、手術をしても肺が膨らむことは無く、心機能も低下しているため、経過観察することになります。心機能が低下していると手術自体に耐えられない可能性が高いため、無理に行うと寿命を縮めるだけの結果となってしまいます。
また、本来の存在場所でないところにある臓器は、そのまま違う場所にくっついてしまい、癒着してしまいます。手術で戻そうとしても癒着が剥がせないような場合は、もう戻すことが出来ません。
手術が可能であれば、開腹して内臓をあるべき位置に戻し、横隔膜の穴をふさぎます。生まれつき横隔膜がほとんど無いような場合は、治療専用のネットを使って、横隔膜の代用とします。
無症状のまま何年も元気に過ごすこともありますが、影響が出てくれば、呼吸困難や食欲不振、元気の喪失などが起こります。何も処置ぜずにいると、数週間から数か月で命を落としてしまいます。
外傷性横隔膜ヘルニア
外傷性で1番考えられることは、交通事故です。車との接触事故で横隔膜が破けるような場合は、内臓その物にも破裂が起きていることがあり、生きていることが奇跡と言える状態です。
横隔膜ヘルニアは、自転車との接触事故で良く起こります。勢い良く走ってきた自転車と接触すると、運よく命を落とさずにいても衝撃で横隔膜が破けたり、穴が空いたりしてしまいます。
次に高部からの落下やぶつかり事故の衝撃が考えられます。野良猫と追いかけっこになって、疾走したりすると事故にも合いやすいですし、誤って高いところから転落してしまう事もあるのです。
また、人に蹴られたり踏まれたりすることでも起こります。世の中には猫を憎むほど嫌いな人もいることを忘れてはいけません。外傷性のヘルニアは、猫を完全室内飼いすることで防ぐことが出来ます。出来る限り室内飼いを考えましょう。
外傷性横隔膜ヘルニアは、横隔膜だけが損傷していると言う事は少なく、体全部の機能を確認するために検査が必要です。強烈な勢いで内臓が胸部に流れ込むため、心肺停止やショック死の可能性があります。
重篤な症状が出ている場合は大至急外科的手術で処置しますが、内臓に損傷がある場合などは悲しい結果となってしまう事が少なくありません。
食道裂孔横隔膜ヘルニア
横隔膜にはもともと空いている部分があります。それは、食べ物を口から胃へ送る食道を通すための部分です。
出典:http://kitagawaac.blog100.fc2.com/
これは、猫の体を横からみた図です。横隔膜が胸部と腹部を隔てているのがわかります。その中で、食道が横隔膜を突っ切っていますね。
食道裂孔の横隔膜ヘルニアは、この部分から穴が広がることで起こります。最初から空いている穴の周りはどうしても弱いためそこから腹部の食道や胃が侵入してしまうことで起こります。
少しづつ隙間から食道や胃の周りの膜が入り込んでいき、腹部の臓器がひきつり、場所や形が変わることで消化や食べ物の移動に異常が起きてきます。十二指腸や小腸で消化物が溜まったり詰まったりして下痢や便秘が起こりやすくなります。
傾向としては、「食事の後に良く吐き戻す」「食が細い」など、食事に問題がある猫に多く発症し、食道炎や食道拡張症を併発していることが多く見られます。
エサを飲みこむ時に辛そうだったり、食べた直後に未消化の状態でそのまま吐きだすことが増えた時は要注意です。食欲が減少し体重が落ちる。元気がなくなり動かなくなるなどの症状が出ます。肩で息をするようになるとかなり辛い状態だと言えます。
横隔膜ヘルニアは手術ができる場合は、状態が改善されるケースも多いのですが、猫の小さな体に大きくメスを入れる手術になるため、リスクは低いものではありません。全身麻酔による危険性もあり、成功率は6割と言われています。
猫の横隔膜ヘルニアは早期発見でより良い治療法を見つける!
外傷性の横隔膜ヘルニアの場合、事故から1週間以内と事故から1年後にリスクが高まります。事故から1週間以内は、臓器の損傷などが考えられるためで、麻酔に耐えられないことがあるのです。
1年経過した横隔膜ヘルニアのリスクとは臓器の癒着が原因です。くっついた臓器を剥がすことは、大変難しい手術となります。
外に遊びに出かけていた猫が帰って来た際、様子がおかしいなと思ったらすぐに病院に連れて行きましょう。その時やり過ごしてしまうと、猫は突発的に耐えられない状態にならない限り、順応していきます。
本当は辛いのでしょうが、言葉にできないので痛みや辛さが消えるまで耐えようとするのです。呼吸が苦しいのは耐えられないので症状としてわかりやすいですが、多少の食欲不振くらいだと飼い主も見落としがちです。
また、多頭飼いの場合はどの子が食べていないのかわからないことがあり、余計に気が付かないで過ごしてしまいます。横隔膜ヘルニアは長い時間が経過してから症状が出ることが多く、「あっそう言えばあの時」と思っても遅いと言う場合があります。
早い段階で気が付いていれば、手術も「癒着」と言う難関を乗り越えなくても済むのです。また、余裕があれば横隔膜ヘルニアに強い医師を探すことも出来ます。
子猫を保護した際は必ず病院で検査してもらいましょう。瀕死の子猫の場合はすっ飛んで病院に駆け込みますが、とりあえずご飯を食べれるような状態だと、そのまま飼い続けてしまう事があります。
猫は親から引き継いでしまった感染症や先天性の病気など、突然体調を崩し始める病気がたくさんあります。横隔膜ヘルニアもそのひとつです。
まだ数100gほどの子猫の場合、何もしないでいると夜元気だったのに、朝には冷たくなっていると言う事もあります。先天性の横隔膜ヘルニアの子猫は腹部が空っぽのため、触っただけであるていどの判断がつく医師もいます。
その時出来ることをしてあげ、手術が可能な体重になるまで対症療法で経過観察し、これなら大丈夫と判断が付き次第手術に踏み切ることが出来ます。
目の前にいる猫の体がどのような状態なのか常に把握しておくことで、治療を計画的に進められ飼い主の心にも余裕ができます。
まとめ
猫の横隔膜ヘルニアは、「先天性」「外傷性」「食道裂孔」の3つに分けて考えられます。先天性は保護した子猫に発症する確率が高く、早い段階で回復できるかどうかが決まります。
外傷性は外に出さないことで猫を守れます。出来る限り室内飼いをするように考えましょう。どの飼い猫にも起こる可能性があるのが、食道裂孔ヘルニアです。
食事の直後に吐いたり、飲みこんだ後苦しそうにしている時は、すぐに病院で検査してみてください。
どの病気もそうですが、早く発見できることが良い治療につながります。特に横隔膜ヘルニアなどは、病院を選びたい病気です。
慌てふためいて取り返しのつかない判断をしてしまうよりも、冷静に判断してあげることが猫のためでもあり、飼い主のためでもあるのです。
また、アナタの愛猫が大きな怪我や病気をした場合の時の準備はできているでしょうか?どんなに健康な愛猫も、歳をとり病気や怪我をしてしまう事は覚悟しないといけません。
猫には人間と同じように皆保険があるわけではないので、病気によっては高額な治療費になる事も多くあります。その時に治療費が高額で、適切な治療を受けれない、選択することができないという事がないようにしたいものです。
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